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かつては、土木業界というと男性が活躍しやすい業界としてのイメージが強かったのですが、ちかごろでは、女性もしっかりと活躍できる職場として、徐々に注目が高まりつつあります。
実際、土木業界で働く女性の割合は増加傾向にあります。女性技術者の割合は2000年の時点ではわずか2%弱にとどまっていましたが、2020年には6%程度にまで上昇しているのです。また女子トイレや更衣室の設置など、大手の建設会社などを中心に現場環境の改善も少しずつ進められています。
担当する業務内容については、基本的に男女差は考慮されないため、女性も男性と同じ仕事をこなす覚悟が求められます。そうなると、どうしても体力面でハンデを感じる女性が少なくないようです。
大手の建築会社であれば、更衣室やお手洗いの整備など、女性にとっての現場環境の向上に既に取り組んでいるところもありますが、中小規模の建築会社 の場合、必ずしも同じ流れにはなってはいないというのが実情です。
あってはならないことですが、男性が多い環境では、セクハラの被害にあう女性が少なくないのが現実です。男性側にセクハラの意識がなく、単なるコミュニケーションとして接している場合も多いため、問題は単純ではないといえます。
出産や育児を理由に、たとえ一時的にというつもりであっても一度職を離れてしまうと、業務に復帰した際、体力的・技術的についていけなくなるという問題もあります。現場は開始時間が早く、また労働時間も長い場合があるため、家事や育児をこなしながらでは、仕事を続けるのが困難になってしまうのです。
日焼けによる肌トラブルに悩む女性も多いようです。基本的には土木作業は屋外でおこなうため、年中日焼けを心配しなくてはならないという状況になります。
土木業界に限ったことではありませんが、男性が占める割合が多い業界では人間関係がギスギスしがちになる傾向がみられます。人間関係に息苦しさを感じるそのような職場であっても、コミュニケーション能力が高いとされる女性が加わると、雰囲気がいくらか改善されるでしょう。雰囲気が良くなることで、クライアントとの打ち合わせなども円滑に進みやすくなる効果があるようです。
1つ1つの業務を丁寧に進めるための能力は、女性が優れている場合が多いです。例えば大きな橋を建てる際、土台作りは一見地味な作業のように感じられますが、とても重要な部分であることは明確です。大きなものを完成させるための小さな積み重ねの数々を、細やかさをもって取り組むことのできる女性技術者は、とても貴重な存在だといえます。
土木作業の現場は、突然資材が転落したり重機倒れたりするなど、さまざまなトラブルや事故が発生しやすい危険な現場でもあります。そのため、作業に集中しつつ、しかも広い視野をもちながら注意を払い続け、素早く危険に気付くための能力が、とても重宝されるでしょう。そういった危機察知能力に関しては、男性よりも女性のほうが長けているといわれています。
女性ならではのデザインセンスや、ものづくりのセンスを発揮すれば、男性社会ではあまり見られないようなデザインの提案ができるでしょう。新たな視点をデザインに反映させることで、施主からの評価が高くなるケースもあります。
仕事の成果が目に見える案件が大半なので、しっかりと達成感を味わえる場合が多いです。自分が施工に携わったものが完成したとき、そしてそれが使用されているのを見たとき、大きな感動があります。
社会インフラを支えるためのものづくりに携わることができるので、地域に貢献しているという実感を得られます。また、地域の方から感謝されるることをはじめとして嬉しい思いをすることもあるでしょう。
土木業界では、取得することで仕事上役立てることのできる資格が多数あります。技術を身に付けていけば職人としてキャリアアップしていくことも不可能ではありませんが、有資格のみが担当できる仕事があるのも事実。言い換えると、資格を取得すればキャリアアップを目指しやすいのが、土木業界の特徴です。
土木業界でのNo.1資格といっても過言ではない土木施工管理技士。土木工事において、主任技術者や監理技術者としての立場から施工計画・工事工程・安全管理・施工管理などを行えるようになります。
既存のコンクリート構造物の調査・診断・維持管理を担当できるようになります。補修設計やリニューアル工事をする際に必要不可欠な存在です。
現場では施工図を用いて現場管理を実施するので、図面の作成技術をもつ人材が欠かせません。特に、土木業界の知識やスキルがあり、しかも製図をまかせられる土木CADインストラクターが不足しているので、企業や団体などによるニーズが高まっています。